①大人のいびきの特徴
大人のいびきと無呼吸には注意が必要です。
大人の場合には子供と違い、アデノイドや扁桃腺が関わっていることは少ないです。(もちろんないわけではないので、アデノイドや扁桃腺の手術が必要となる方もいます)
大人の場合には一番問題となるのは、舌根沈下といって舌がのどに落ち込むことで気道を塞いでしまう現象です。
肥満の方は首の脂肪で、もともとのどの通りが狭くなっていますから、仰向けで寝ると舌がのどの通りを塞いで、無呼吸になってしまうわけです。
ただ単純に太っている人だけがなるわけじゃなくて、舌が大きい人とかのどが構造的に狭い人なんかも生じるんです。一見するとそんなに太ってない人でも睡眠時無呼吸を生じる可能性はあるので注意が必要なんですね。
②院長も無呼吸です(笑)
ちなみに恥ずかしながら、私自身いびき・無呼吸がありまして。時々呼吸が止まって起きちゃうくらいなんです。
子供の頃に鼻が悪かったり、アデノイドが大きかったりで鼻呼吸がうまくできず、口呼吸になってしまっていると顎の発育が悪くなり、大人になってからいびきや睡眠時無呼吸を生じるので注意が必要です、と外来で患者さんに言っています。
実はこれ自分のことなんです。幼少期、口呼吸のため、顎が成長せず小さいために、いびき・無呼吸で苦しんでるんです。そのため、そういうことにならないよう、子どもの口呼吸は力を入れて診察をしています。
話がそれましたが、そんなわけで私自身いびき・無呼吸の治療のためにCPAP治療を行っています。
③CPAP治療について
大人のいびき・無呼吸の多くは舌根沈下による気道狭窄が原因なのですが、このタイプの無呼吸に一番効果の高い治療がCPAP治療です。
CPAP治療を行うためには、まず鼻を覆うようにマスクを当て、バンドで固定をします。マスクと機械がチューブでつながっていまして、機械から一定の圧が鼻を通して気道にかかります。
人工呼吸器ではないので、呼吸はあくまで自分で行います。気道に陽圧がかかり続けるので、舌の落ちこみで気道が塞がってしまうのを防ぐことができます。そうすると無呼吸になることを回避することができ、良好な睡眠をとれるようになります。
私もCPAP治療を始めてから、睡眠の質が高まった実感があります。熟眠感もありますし、仕事のパフォーマンスも向上していると感じています。
④睡眠を見直しませんか?
大人の睡眠は平均7-8時間。
1日の1/3は寝ているわけです。睡眠の質が身体に与える影響は思っているよりも大きいと思います。
私も40代後半にはいり、身体の不調をいろいろ感じ始めました。まず見直したのが睡眠です。
睡眠時無呼吸を放置すると、呼吸器の問題だけではなく、心臓や血管などの循環器へ負担が蓄積されていきます。
高血圧をはじめとした生活習慣病のリスクが高まり、将来的には狭心症・心筋梗塞などの心臓の血管イベントや、脳出血・脳梗塞などの脳の血管イベントのリスクが高まると言われています。
自分の将来、家族の未来のことを考え、睡眠について今一度見直してみてください。
※院内のサイネージでも詳しく説明しています
⑤具体的なお話
長々と読んできていただき、ありがとうございます。
いびき・睡眠時無呼吸についてお悩みの方は是非相談に来てください。
まず2つの検査を行います。
①鼻から気管の入り口までファイバーを挿入し、気道狭窄のチェックの検査
②自宅でモニターをつけて寝てもらい、1晩あたりの睡眠中のいびきや呼吸イベントの回数、呼吸・循環への影響を調べる検査
この2つの検査で、3割負担の方でおよそ4000円になります。
その検査の結果次第で、重症の場合にはすぐにCPAP治療の導入を検討することもありますし、さらに近隣の睡眠センターに精密検査を依頼することもあります。そこまで重症でなければ、これまた近隣の歯科に依頼してマウスピースの作成などで経過をみることもあります。
CPAP治療は保険診療になります。3割負担の方で再診料も含め、月々4500円の負担になります。
迷っている方は一度ご相談くださいね。